Claude Codeで、動画編集はどこまで任せられるか

Claude Codeで、動画編集はどこまで任せられるか

Series / 社内DXの途中経過 #1 ── カット編

Claude Codeで、動画編集はどこまで任せられるか

社内DX SNS運用 AI活用 テロップと格闘中 2026.09.02

「動画編集って、こんなに時間を食うのか」。
いま社内で、その作業をClaude Codeに任せられないか取り組んでいます。カットは、ひとまず制覇しました。そしていま、テロップと格闘しています。これは完成報告ではなく、その途中経過です。

僕たちはSNS運用の支援をしていて、月に何十本と動画を触ります。企画を出すのも、台本を書くのも、撮るのも楽しい。ただ編集だけは、毎回だれかの夜を持っていく作業でした。

無音を切って、言い直しを削って、テロップを1枚ずつ打つ。10分の素材で2〜3時間。しかも、やっていることの9割は「判断」ではなく「手を動かすだけの作業」です。ここをClaude Codeに任せられないか、と手をつけたのが始まりでした。

結論から書くと、「切る」ほうは制覇しました。無音も、間も、言い直しも、放っておけば勝手に落ちます。もう手で切っていません。

問題はその次でした。いま全力で格闘しているのが「テロップ」です。文字を出すだけなら簡単だろうと思っていたのに、これがまるで言うことを聞かない。BGMも効果音も色味も、まだ手つかずです。それでも途中のまま書きます。うまくいった話より、外した話のほうが長くなりました。

目次

1. 最初にやったのは、人の手を2か所に減らすこと

ツールを作る前に、まずフローを決めました。どこまでを自動でやって、どこで人が口を出すのか。それが曖昧なままだと、何度作り直しても終わりません。

Figure 1

1本の動画が出ていくまで。人の手が要るのは2か所だけ

1企画を決める(誰に・どこに出すか)AI
2撮影台本を書く(フック→本編→CTA)AI
3撮る/フォルダに入れる人
4編集台本が出る(秒数つきの「切る候補」一覧・1〜2分)AI
5台本のチェックを直す(「3番は残して」と言うだけ)人
6実カット+テロップ焼き込み+字幕+Premiere用データAI
7切り替わりのフレームを静止画で確認AI
青い行だけが人の仕事。撮影と、④で出てきた台本に赤を入れる作業だけが残ります。

効いたのは④で、いきなり動画を書き出さないことでした。先に「どこを切るか」を秒数つきの一覧=編集台本として出す。ここまでなら1〜2分で終わります。

以前はいきなり完成品を作らせていました。気に入らなければ全部やり直し。18分の動画を焼き直すのに毎回20分かかって、待ち時間だけで一日が溶けていく。台本を先に見せるようにしただけで、やり直しがほぼゼロになりました。

2. カットは制覇した

まず、片がついたほうから。社内研修の素材で測った実測値です。ただ喋っているだけの9秒ですが、それでも中身はこうなっています。

Figure 2

9.00秒のうち、3.37秒は「無言」だった

撮ったまま 9.00s 自動カット後 −37% 5.63s 詰め強め −46% 4.86s
濃い部分が実際に喋っているところ、斜線が無音と間。9.00秒 → 5.63秒(−37%)、強めに詰めれば4.86秒(−46%)。10分の素材なら4分近くが消える計算です。

ここはもう安定して回っています。出てくるのは完成MP4だけではありません。SRT字幕とPremiere用のXMLも同時に出るので、細かく詰めたいときはPremiereで開いて続きから仕上げられます。しかも全部ローカルで動くので、APIキーもクラウドへのアップロードも要りません。クライアントからお預かりした素材を1バイトも外に出さなくていいのは、思っていた以上に大きい利点でした。

3. そしていま、テロップで詰まっている

ここからが現在地です。切るほうが片付いたので、次はテロップだと軽く考えていました。喋った内容を文字にして、下に出すだけ。半日で終わるだろう、と。

そこから丸2日、同じところで転び続けています。

音声を文字にするのにwhisperというモデルを使っています。これが「えっと」「ええ〜」といったフィラーを文字に起こしません。それ自体はありがたい。問題はその先で、直後の単語の時刻を、フィラーの区間まで前に引き伸ばしてしまうのです。

Figure 3

「えっと」と言っている最中に、次のテロップが出る

えっと ええ〜 音 ✗ 放置すると 今日の研修2時間 文字が音より先に出ている ○ 補正すると 今日の研修2時間 音の立ち上がりに合わせる
赤い帯がフィラーの区間。上の行では、まだ「えっと」と言っているのに次のテロップが出てしまっています。答えが先に見えて、間が抜ける。

やっかいなのは、書き起こしの文字をいくら読み返しても気づけないことです。文字そのものは合っている。ずれているのは時刻だけなので、実際に焼いて見るまで分かりません。僕たちはこれで2回外しました。「直りました」と報告して、動画を見たらまだズレている。2回目は本当にきつかった。

音の特徴では、フィラーを見分けられない

「短くて・小さくて・平坦な音を消せばいい」と考えて、全区間の音量を20ミリ秒刻みで測りました。結果は、こうです。

Figure 4

フィラーと本物の言葉は、数値がほとんど重なる

区間尺ピーク振れ幅正体
0.96–1.200.24s−25.4dB2.8えっと(フィラー)
2.26–2.520.26s−23.5dB3.8「研修」の一部(本物)
2.78–3.360.58s−25.7dB7.1ええ〜(フィラー)
5.10–5.500.40s−24.2dB4.6「お願いします」(本物)
しきい値をどこに引いても、本物の言葉が巻き添えで消えます。この表が出た時点で、音だけで判定する方針は捨てました。

そこでやり方を変えました。見つけ方は「文字」、切る境界は「音」。whisperにフィラーだけを並べた指示文を先に渡すと、普段は落とすはずの「えーと」「えー」を文字に起こしてくれます。どこを消すかはそれで決める。実際にどこで切るかは、その前後にある音の谷から取る。この順番にして、ようやくズレは止まりました。

ただ、テロップが片付いたわけではありません。止まったのは「音とのズレ」だけで、どこで文を区切るか、どの語を強調するか、2行になったときどうするかは、まだ人が見て直しています。次に潰すのはそこです。

4. 結局いちばん効いたのは、判断を文章にしたこと

テロップは音より先に出さない。開始時刻は動かさず、伸ばしていいのは終わりだけ。1枚1行。既定は白帯で、位置は顎の下。焼いたら必ず実測して数字で報告する。

——こうした「これまで担当者が頭の中でその都度やっていた判断」を、全部1枚のルールに書き出しました。今はAIが編集を始める前に必ずそれを読みます。高度なプロンプトより、この当たり前の明文化のほうがずっと効きました。

そして書き出してみて分かったのは、これは動画編集に限った話ではないということです。請求書の処理でも、日報の集計でも、詰まっているところはたいてい同じでした。作業が難しいのではなく、判断の基準が誰かの頭の中にしかない。

5. いま、どこまで来ているか

正直なところを並べます。制覇したのはまだ1つ目です。

Figure 5

カットは終わった。いま殴り合っているのはテロップ

制覇 / カット

  • 無音・間の自動カット
  • 言い直し・フィラーの自動検出
  • カット率の実測と報告
  • SRT字幕・Premiere用XMLの書き出し
  • 判断基準のルール化

格闘中 / テロップ

  • 音とのズレ補正 … ようやく止まった
  • 文の区切り方と改行
  • 強調したい語の見せ方
  • 長尺(30分以上)での安定性

これから

  • BGM・効果音の自動配置
  • 色味の調整
  • サムネイル案の生成
  • そのまま投稿まで通す
左は、もう手を入れていません。真ん中がいま毎日さわっているところ。「制覇」と書いていますが、最後は人が目で見て直す前提なのは変わりません。

「AIで自動化」と言うと、ボタンを押せば全部出てくる話に聞こえます。実際にやってみると、そうではありませんでした。人が何を見て、何を判断していたのかを、1つずつ言葉にしていく作業です。

僕たちは沖縄の会社で、まわりも人手の足りない中小企業ばかりです。だからこそ、こういう「毎回だれかの夜を持っていく作業」から順番に潰していきたいと思っています。

この取り組みは続きます

今回はカットを制覇したところまで。次はいま格闘しているテロップの続き——区切り方と強調の付け方を書きます。その先にBGMと効果音が控えています。うまくいった手順も、外した失敗も、そのつどここに書いていきます。

「AIで社内の作業をどこまで減らせるのか」を、きれいにまとまってからではなく、途中のまま出していくつもりです。よかったら、ときどき覗きにきてください。

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